全難聴 情報文化部

【報道機関への要望】
 2007年7月23日 NHKへ「緊急災害時におけるテレビ放送についての要望」を提出
                                         2007年7月23日

日本放送協会
会長 橋本元一 殿



                     社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
                                         理事長 高岡 正

 緊急災害時におけるテレビ放送についての要望
 (台風4号、平成19年新潟県中越沖地震に関わる報道等について)

 平素より私ども中途失聴・難聴者の福祉の向上にご高配を賜り、厚く御礼申し上げ
ます。
 さて、貴協会(以下、NHK)は7月16日午前10時13分の「新潟県中越沖地震」
の発生直後より緊急災害放送に切り換えて、現地中継も含めて継続的に放送されまし
た。しかし、難聴者等がテレビの視聴に不可欠な字幕放送は夜7時のニュースまで行
なわれず、被害状況や避難勧告、余震情報、行政連絡、交通機関の運行状況等を正し
く把握することが出来ませんでした。このことは、新潟県、長野県の被災地の難聴者
のみならず、全国の難聴者も情報が得られなかったことになります。
 台風4号の天気予報、臨時ニュースについても、深夜帯は字幕放送、手話放送が行
われていませんでした。
 2007年度の総務省「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送の在り方研究会」で
も、聴覚障害者団体は緊急災害時の情報保障を強く要望しましたが、報告書では字幕
常時制作体制、手話通訳の待機態勢を取ることは予算的にも人材的にも困難と記述さ
れました。私たち聴覚障害者の恐れていたことが報告書発行後数ヶ月にして現実のも
のとなりました。
 NHKは放送法、災害対策基本法により防災上の指定公共機関と位置づけられてお
ります。放送が、防災上情報の伝達に大きな役割を果たすからです。すべての住民に
理解されるように情報を提供することが、こと防災情報に限っては生命・財産の安全
に関わるものだからです。緊急災害時の情報伝達は時に人命にも関わることでもあり
ます。貴協会におかれましては、すべての視聴者に対する公共放送の使命を全うされ
ますように切に願うものであります。
 NHKは2006年度において字幕放送付与可能な番組に対して、総務省行政指針より
一年早く100%の付加率を達成しました。聴覚からの情報入手に困難のある私ども中
途失聴・難聴者にとって、字幕放送は非常に重要な情報源となっており、NHKの字
幕放送実施に対する努力を高く評価するものです。
 一方で、放送時間全体に占める字幕放送時間の割合は43.1%と、さらなる拡充の取
り組みが必要な状況であります。特に生放送においては、平時のニュース放送やスポ
ーツ番組放送について若干字幕放送を行なっているに過ぎず、相変わらずテレビ放送
からの情報取得に困難が伴っています。
 生放送において、常時字幕制作態勢を整えるには、字幕表出技術や人材育成・確保
等のコストの問題など、いまだ取り巻く環境の障壁があることは承知しております。

 当会は、以下のことを要望し、早期にその実現を願うものです。

                        記

1. 緊急災害時の字幕放送、手話放送の実施について、優先的に取り組むこと。

2. 緊急災害時のニュースの音声の字幕と手話をつけた映像の聴覚障害者に対す
  る公衆送信による再送信について、著作権の許諾を不要とすること。

3. 生放送の字幕放送の拡充を一層図ること。

4. ローカル放送の字幕放送の拡充を一層図ること。

                                                    以上


 上記要望について、誠に勝手ながら8月6日(月)までにご回答をお願いする次第
です。回答の際には具体的に、実現の可能性やその方策等も併せてお示しいただき、
また対応できない場合は、その事由を明確にご回答下さいますようにお願い致します



 
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