震災後、日本財団の東日本大震災津波支援に関わる助成金事業を受け、全難聴は被災難聴者が支援を受けやすくすることを目的とした装用品を作成、配布しました。
それが耳マーク付きの腕章、及びベストです。
当初の目的としては、避難所で音声情報による支援が受けられないという事態を防ぐために、作成した腕章を避難所で配布することでした。
しかし、それまで被災した難聴者がすでに数ヶ月間避難所ですごしていた場合、それらの方々に改めて腕章を配布することについて考えることになりました。
全国40箇所近い情報提供施設にも配布し、多くの方々の意見を集めて気がついたのは、きこえについて告知するシンボルは緊急時のみの活用ではいけないということです。
まずこの腕章が、難聴者の常備品になるべきものだということ。
またこの腕章は「きこえが不自由である」ことを的確に周囲に認知されるように、普段から日常的に使う機会を設けるべきであるということです。
新たに作成した腕章は、「耳が不自由です。筆談してください」及び、「聴こえのサポーター」という2枚の用紙を差し替えることができるものになっています。
病院や会合に通訳者や要約筆記者の同行を求める時がありますが、その際彼らに「聴こえのサポーター」用紙が入った腕章をしてもらうことで、多くの人に耳マークのついた黄色い腕章がきこえに関するものであるという印象を広めていくことができます。
そしていざ災害が起きた時には「耳が不自由です」という用紙を装着した腕章により、難聴者自身が支援の必要であることを周囲に示します。
3月3日、東京で開かれた「耳の日文化祭」で東京都中途失聴・難聴者協会のご協力のもと、腕章を配布しました。
その際、朝一番で腕章に興味をもたれて、その後仲間を大挙連れて腕章を受け取りに来られたのは、「ろう者」の方々でした。
先の震災時、避難所では食料などの支援が音声により通知されることがありました。
音声情報を受けづらい聴覚障害をもつ被災者は、食事などの支援を得るチャンスを逃したり、遅くなったりしたなどの深刻な事例をろうの皆さんは自分のこととして捉えているようでした。
持参した500セット近い腕章は、すべて二日目の昼前までに参加者に配布することができました。
同じく、3月半ばの中難協の集いでは、ある程度告知が進んでいたためか、半日で300セットの配布を行いました。
予想される震災に対し、今後も全難聴はこれらの装用品を、グッズとしてだけではなく、災害対策常備品として公費による配布が実現されるように、活動を続けていきます。
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