第18回全国中途失聴者・難聴者福祉大会 in 埼玉  
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【大会宣言】 (PDFファイル)

  平成24年3月11日に発生した東日本大震災は甚大な被害をもたらし、多くの尊い生命が失われました。 復興の道のりの最中、関係者の強い意志をもって開催された昨年度の「第17回全難聴福祉大会 in あおもり」は、 我々に中途失聴者・難聴者の情報保障や災害時における障害者の人権について、対策・対処を学ぶ機会となりました。
本日、「第18回全国中途失聴者・難聴者福祉大会 in 埼玉」に集まった参加者一同は、 この未曾有の大災害を忘れることなく次代へ語り継いでいくことを確認いたしました。
 また、この間にも障害者制度改革は着々と進んでおり、障害者総合支援法が本年6月に成立し、 来年4月より施行されます。現在は障害者政策委員会の中に設置された差別禁止部会で障害者差別禁止法の議論が展開されています。 誰もが人としての尊厳を守られ自己決定や自己選択できること、あらゆる社会活動への参加・参画ができるようになるための、要(かなめ)となる法律です。 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会は全力をあげて要望を繰り返しております。 我々の声がしっかりと社会に届くよう、たゆまず学びと運動を続けていかねばなりません。  
 大会会場であるさいたま市は、政令指定都市で初めて全国で4番目となる差別禁止条例を昨年施行しました。 これも何かの縁(えん)に違いありません。今大会は、「彩の国で立ち上がれ!! 聞こえの権利を築く為に!!」をテーマに掲げて準備を進め、本日の開催に至りました。
 しかし、周りを見渡すと聞こえやコミュニケーションの問題に悩み、孤立感を味わっている仲間や、地域にひきこもったままの仲間も多く見受けられます。 「無縁社会」と呼ばれる現代において、職場や家族、地域との関わりは時に、メンタル面の問題として我々に鋭く迫ってきます。 一方、コミュニケーション手段を再獲得し、生活の質を高め、人生を自分のものとして生きる仲間たちの姿もあります。 さまざまな仲間たちがここ埼玉で出会ったことが、互いに新たな一歩を踏み出すことでしょう。
 この大会にあたり、全ての難聴者は中途失聴者・難聴者の福祉向上と人権保障の進展・拡充がなされるよう 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会に一致団結して、障害のある人もない人も誰もが真に自己決定できる共生社会を目指すことを誓い、ここに宣言します。

第18回全国中途失聴者・難聴者福祉大会 in 埼玉 参加者一同


【大会決議】 (PDFファイル)

大 会 決 議

(第18回全国中途失聴者・難聴者福祉大会in埼玉)

難聴者、中途失聴者の権利に対する私たちの取組の理念

 難聴者・中途失聴者がすべて聞こえの程度に関係なく、一人の人間として尊重され、国民としての権利を享受し、差別なく平等に地域社会の一員として認められることを目標としています。

 

  2011年3月11日に発生した東日本大震災は1000年に一度という未曽有の大津波と甚大な被害を東日本の各地にもたらしました。この大震災により多くの尊い生命が奪われ、福島原発にみる原子力発電所問題が世界の問題、課題にまでなっています。さらに県内、県外に避難されている方々も長期に亘っています。まさに国難の時です。

 大震災からの復興・再興の途上にある今日、私たちの福祉に関しても、今回の震災から貴重な経験を得ました。自らの命は自ら守る、安全を確保するということ。そして支援や救援での聴覚補償・情報保障の確保は、震災前のレベル以上にはならないということ。常日頃の活動の積み重ねが、災害時の備えとして大事だという事です。以上をふまえて討議、討論が本大会において活発に交わされます。

さて、障害者権利条約の批准を前に、国内の関係諸法の整備が急がれています。障害者差別禁止法の提言案が内閣府に設置された障害者政策委員会の差別禁止部会でまとめた案を参考に内閣府が来年の通常国会を目標に提示することになっています。また、障害者虐待防止法が本年10月1日より施行されました。本年成立した障害者総合支援法は来年4月施行されます。特に私たちとも関わりの深い要約筆記派遣制度の実施要綱など、制度運用の提示が待たれている状況です。このような制度改革推進の大きなうねりの中で、私たちは次のような基本的理念を掲げ、要求を推進していきます。

 

1、難聴者・中途失聴者の完全参加と平等を保障するものとする。

(説明)

     障がい者制度改革推進会議が障害者基本法改正に伴い、基本法に定められた「障害者政策委員会」が再スタートしました。また、障害者総合支援法の来年4月の施行に向けた取組が進んでいます。当会は、難聴者、中途失聴者の権利が保障されるべく組織を挙げてこれらの実現に取り組んでいきます。

 

2、社会のあらゆる分野での情報・コミュニケーションの保障を進める。

  放送・通信、就労、教育、司法、選挙、交通、防災、文化・スポーツ等社会のあらゆる分野で難聴者、中途失聴者の情報保障、コミュニケーション支援に関わる法制度の整備を求める。

(説明)

  障害は社会の姿勢並びに環境に関する障壁との相互作用という社会モデルの考えに基づきユニバーサルデザイン、情報バリアフリーの実現した環境整備とコミュニケーション支援体制の充実を求めます。

 各種補聴援助システム機器の設備、光・振動等信号装置、字幕とリアルタイム文字の表示、要約筆記などのコミュニケーション支援、電話リレーサービス、遠隔通訳など必要な場における適切な対応が図れる合理的配慮を求めます。公共交通機関の運行情報や公共施設における文字表出、災害時情報の文字伝達、教育の場での情報保障、娯楽施設、文化施設での文字による情報保障と補聴援助システムの整備や設置を求めます。

 

3、障害は機能障害と社会環境により生じるという権利条約の考えに基づき、聴覚障害者の情報アクセス・コミュニケーション保障の観点からあらたな定義の制定を求める。

  身体障害者福祉法の聴覚障害認定基準を国際的なレベルに変更を求めていく。(デシベルダウン運動)

(説明)

  情報バリアフリー、ユニバーサルデザインの理念が浸透しつつある社会では聴覚障害の程度に関わらず、個々に対応した情報・コミュニケーションの保障がなされるべきです。しかし、福祉サービスの対象として「聴覚障害」の

  認定基準が必要です。純音検査による聴力機能だけでなく、当事者のコミュニケーションのニーズ(生活上の困難度)も加味して設定される必要があります。現行身体障害者福祉法の認定基準は算定根拠自体が聴覚障害者の生活実態から乖離し、国際的基準(500Hz~4kHzで両耳平均聴力40㏈以上)からみても重度障害の基準(500Hz~2kHzで両耳平均聴力70㏈以上)になっています。特に幼少期、学齢期の言語獲得時にある児童、生徒にとっては、将来の社会を背負って立つ人材育成という観点からも重要な問題であり、社会にとっての大きな損失でもあります。地方自治体では、学齢期に達した軽・中等度難聴児への補聴器交付や補聴援助システム機器の貸与等が進んできていることは、事の重要性を地方自治体が認識し対応を急いだからです。国レベルにおいても喫緊の課題として捉えて、身体障害者福祉法別表の聴覚障害認定基準を改訂する等、必要な施策に取り組むべきです。

 

4、難聴者・中途失聴者に対する福祉サービスは抜本的な拡充を求める。

1) 当事者の希望する補聴器の交付と補聴援助システムの新規交付事業開始を求める。

(説明)

  2010年4月から耳掛形を基本とした交付が実施されているが、両耳装用や耳穴形の装用もQOLの向上が認められることから、本人の希望が尊重される交付が必要です。

  障害者自立支援法で給付されるデジタル補聴器は基本構造以外のハウリング

  抑制機能や周波数圧縮変換機能も必要です。

  補聴器や人工内耳では、音源から離れたところでの聴取は困難が増大します。それを補う補聴援助システムの給付を拡大することを求めます。

2)難聴者、中途失聴者の聴能訓練、筆談、手話、読話等のコミュニケーション手段の学習、生活訓練等を事業化することを求める。

(説明)

  難聴者の自立には、補聴器装用訓練や情報保障手段の学習や習得など新たなコミュニケーション手段を学ぶ場の獲得が欠かせません。また、難聴者にとって例会などの交流は社会参加上で重要な生活訓練にあたる意義、意味があ

  る。特に中途失聴者や中途で難聴になられる方々の日常生活訓練の場、学習の場の確保がなされていない現状に鑑み、事業化していくことが必要です。

 

3)総合ヒアリングセンターの実現を求める。

聴覚保障の推進を医療、福祉の両面から制度化し、医療、福祉、就労、教育など総合的な支援が受けられるセンターとすることを求める。

(説明)

  福祉医療機構の助成により2年間実施した聴覚補償に関わる調査研究事業により、総合ヒアリングセンター構想がまとめられました。医療機関、聴覚障害者情報提供施設等でセンター機能の実現により事業としての実施が図れるよう求めます。

  聴覚補償の推進には聴覚外来と補聴給付事業のように医療と福祉のサービスや社会・成人教育、就労・教育を含めた分野との一体的・一元的な連携が取れる施設が必要です。聴覚障害者の情報・コミュニケーション手段に関する総合的対応ができる施設が必要です。これらの機能を担う総合ヒアリングセンターの実現を求めます。

 

5、要約筆記者の養成、派遣事業に関わる特別支援事業の継続と充実を求める。

1)要約筆記者指導者養成事業を継続することを求める。

(説明)

  要約筆記は意思疎通を仲介する通訳としての位置付けが法定化されています。来年4月からスタートする障害者総合支援法施行により要約筆記者養成新カリキュラムと担い手は要約筆記者とする通知がなされ、昨年より指導者養成講習会が開催されています。引き続き、指導者養成講習会と現要約筆記奉仕員のレベル・スキルアップをはかるための補習講習の充実と強化のための特別支援事業の継続を求めます。

2)要約筆記者の派遣対象の拡大、範囲の拡大を求める。

(説明)

  害者総合支援法実施要綱では、自助団体への通訳者派遣を明記することを求めます。複数の同障者のコミュニケーションにとって、なくてはならない要約筆記者公費派遣を全国で復活することを求めます。

  ②職場への要約筆記者派遣について、雇用主の負担能力を勘案した通訳派遣ができるようにすることを求めます。

③聴覚障害者が定年退職後等に社会人入学として高等教育機関に学ぶ方が増えています。高齢社会にあって、社会貢献、向学心に燃える中高年の方も多くなりました。このような機会に情報保障の配慮が受けられないことは差別にあたります。

   高等教育機関や社会教育の場での情報保障の当事者のコミュニケーション手段、通訳手段に応じた福祉サービスが受けられるよう求めます。

3)要約筆記者派遣事業における、都道府県、市町村間を超えた派遣ネットワークシステムの構築と事業化を求める。

(説明)

  障害者総合支援法での通訳派遣は地域で、広域で福祉サービスを受けられるということになっていますが、都道府県内外でいつでも、どこでも、必要な場に要約筆記者の派遣ができ、私たちの権利が守られることが必要です。

 

6、難聴者・中途失聴者が施策決定に参画できる法制度の確立を求める。

(説明)

  全国の都道府県、市町村に至るまで、各種福祉政策決定の場に、当事者参画による保障がなされるように求めます。当事者の参画が保障される「私たち抜きに、私たちのことを決めないで!」という権利条約採択時の精神に基づき進めることを求めます。

 

.当事者団体の国際活動への参画に対する国からの支援を要請する。

(説明)

  2012年6月、4年に一度の国際難聴者連盟の総会、分科会等が開催されました。参加者個人の負担も重く、特に言語の問題もあり、多額の言語通訳費用や同行する要約筆記者の費用も、参加する中途失聴・難聴者の負担となっています。グローバルな現代において、多大の金銭的負担・バリアーを抱えながら参加をしなくてはなりません。また、アジア・太平洋難聴者連盟の設立に伴い、当会の果たすべき国際的な責任も生じています。

 

8.組織強化に結び付けられる事業の拡大に、最大限の支援と助力を要請する。

(説明)

  組織離れは時代の趨勢ではありますが、高齢化社会の中にあって生活していくうえで一番大切な機能はコミュニケーション能力です。嫌がうえにも難聴になればあらゆる人とのコミュニケーションに障害をもたらします。聴覚補償分野では国際的にもレベルは上がったが、本人及び本人を取り巻く環境整備はほとんど進んでいない状態です。中途失聴者・難聴者に対する福祉の充実は現在の日本にとって最大の課題であると認識しています。ハード面での世界レベルからソフト面も含めた世界レベルを実現できるよう最大限の支援を求めます。

 

以上 決議します。

 

2012年12月2日

第18回全国中途失聴者・難聴者福祉大会in埼玉 参加者一同




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