第17回全国難聴者・中途失聴者福祉大会 in あおもり  
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【大会宣言】 (PDFファイル)

 平成23年3月11日(金)1446分、未曾有の大災害、東日本大震災が東北関東地方の太平洋側を襲いました。最大40m超と言われる大津波は太平洋沿岸や福島原発を襲い、甚大な被害を与えました。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 

大会実行委員会は、復興途上の中で開催すべきかどうか、大いに悩みましたが、 八戸市周辺が被害を受けた青森県から「復興」への強い気持ちを発信すべきと考え、開催に踏み切りました。復興途上の中、本日全国各地から多くの参加者を迎え、そして多くの方々のご支援、ご協力を得て「第17回 全国難聴者・中途失聴者福祉大会 in あおもり」を開催することができました。

 全難聴は、平成23年9月に法人化20周年を迎えました。この記念すべき年の6月には障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」と題する閣議決定、 8月に「障害者基本法の一部を改正する法律」が公布・施行(一部を除く)されました。 障害者自立支援法を廃止し、新たな障害者総合福祉法制定等、障害者権利条約を批准するための国内法整備の動きが着々と進んでいます。 また、3月には要約筆記者養成カリキュラムが通知され、養成・研修・派遣が一体化された事業として位置づけされました。 この事業を促進させるための特別支援事業も進められています。こうした施策の改革は全難聴の長年の取り組み、 提言活動・実践が国の施策に反映されてきている証左です。

全難聴は多くの行政や関係機関の方々、 組織の支援を受けて難聴者・中途失聴者の福祉向上の実現のために、一歩一歩前進しつづけています。 しかし、法律は完璧なものではありません。法律を生かせるのは、私たち自身です。 私たち自身が周囲の理解を得ながら共に支援しあえる共生社会をめざしていくことで、 本当の意味での難聴者・中途失聴者福祉が生まれてくると考えています。

 本大会では、 東日本大震災の被災経験などから難聴者・中途失聴者の情報保障や災害時における障害者の人権を学ぶと同時に、 難聴者・中途失聴者の福祉向上に向け、自らを律し、一致団結して、家族愛、隣人愛に満ちた互いに 支援しあえる真の共生社会をめざしていくことを誓い、ここに宣言します。

 

            第17回 全国難聴者・中途失聴者福祉大会 in あおもり

            参加者一同


【大会決議】 (PDFファイル)

第17回全国難聴者・中途失聴者福祉大会inあおもり

難聴者、中途失聴者の権利に対する私たちの取組の理念

  難聴者・中途失聴者がすべて聞こえの程度に関係なく、一人の人間として尊重され、 等しく国民としての権利が享受され、差別なく平等に地域社会の一員であることを認められることを目標とします。

2011年3月11日午後に東日本太平洋岸沖で発生した東日本大震災は1000年に一度という未曽有の大津波と甚大な被害を各地にもたらした。この大震災により多くの尊い生命が奪われ、 福島原発に見る原子力発電所問題が世界の問題、課題にまでなっている。さらに県内外に避難されている方々も長期に亘り、 まさに国難の時である。

大震災からの復興・再興の途上にある今日、 私たちの福祉に関しても、今回の震災から貴重な経験を学ぶこととなった。自らの命は、まず自ら守る、安全を確保するということ。 支援や救援での聴覚補償・情報保障の確保は、震災前のレベル以上にはならないこと。やはり、常日頃の活動の積み重ねが災害時には大事だという事です。 以上を踏まえた討議、討論が本大会においても活発に交わされます。

さて、障害者権利条約の批准にあたり、 障害者基本法改正案が可決成立し施行されています。内閣府に設置された障がい者制度改革推進会議より出された第1次・第2次意見を基にして 改正案が出されました。また、総合福祉部会においては障害者総合福祉法(仮称)の素案がまとまり推進会議や厚生労働省に提示されます。 私たちは次に掲げる基本的理念の基に要求を推進していく。

1.難聴者・中途失聴者の完全参加と平等を保障するものとする。

(説明)

障がい者制度改革推進本部の下、 当事者構成委員が中心の障がい者制度改革推進会議と各専門部会は、障害者差別禁止法、虐待防止法などの他、 障害者自立支援法に代わる障がい者総合福祉法の制定、情報・コミュニケーション支援に関わる制度の抜本的改革を進めている。 当会は、難聴者、中途失聴者の権利が保障されるように、組織を挙げてこれの実現に取り組む。

 

2.社会のあらゆる分野での情報・コミュニケーションの保障を進める。

放送・通信、就労、教育、司法、交通、防災、 文化・スポーツ等社会のあらゆる分野で難聴者中途失聴者の情報保障、コミュニケーション支援に関わる法制度の整備を求める。

(説明)

障害は社会の姿勢並びに環境に関する障壁との相互作用という社会モデルの考えに基づきユニバーサルデザイン、 情報バリアフリーの実現した環境整備とコミュニケーション支援体制の充実を求める。

各種補聴援助システム機器の設備、 光や振動等信号装置、字幕とリアルタイム文字の表記要約筆記などのコミュニケーション支援、電話リレーサービス、 遠隔通訳など必要な場における適切な対応が図れる合理的配慮を求める。

 公共交通機関の運行情報や公共施設における文字表出、 災害時情報の文字伝達を進めてください。

  教育の場での情報保障、娯楽施設、 文化施設での文字による情報保障と補聴援助システムの整備や設置を進めてください。

 

3.障害は機能障害と社会環境により生じるという権利条約の考えに基づき、 聴覚障害の情報アクセス・コミュニケーション保障の観点からあらたな定義の制定を求める。 身体障害者福祉法の聴覚障害認定基準を国際的なレベルに変更してください。(デシベルダウン運動)

(説明)

  情報バリアフリー、ユニバーサルデザインの 理念が浸透しつつある社会では聴覚

障害の程度に関わらず、 個々に対応した情報・コミュニケーションの保障がなされるべきである。しかし、福祉サービスの対象として 「聴覚障害」の認定基準が必要となる。純音検査による聴力機能だけでなく、当事者のコミュニケーションのニーズ(生活上の困難度)も 加味して設定される必要がある。

現行身体障害者福祉法の認定基準は算定根拠自体が 聴覚障害者の生活実態から乖離し、国際的基準(0.5~4kHzで両耳平均聴力40?以上)からみても重度障害の基準(0.52kHzで両耳平均聴力70?以上)になっている。 40年の聴障者運動のなかでも差別解消としての最も重要な要求です。特に幼少期、学齢期の言語獲得時にある児童、生徒にとっては、将来の社会を背負って立つ人材育成という観点からも重要な問題であり、社会にとっての大きな損失でもある。

4.難聴者・中途失聴者に対する福祉サービスは抜本的な拡充を求める。

(1)当事者の希望する補聴器の交付と補聴援助システムの新規交付事業を開始してください。

(説明)

2010年4月から耳掛形を基本とした交付が実施されているが、両耳装用や耳穴形の装用もQOLの向上が認められることから、本人の希望が尊重される交付が必要である。

障害者自立支援法で給付されるデジタル補聴器は基本構造以外のハウリング抑制機能や周波数圧縮機能も追加してください。

補聴器や人工内耳では、音源から離れたところでの聴取は困難です。それを補う補聴援助システムの給付をFMシステム以外でも利用ができるようにしてください。

(2)難聴者、中途失聴者の聴能訓練、筆談、手話、読話等のコミュニケーション手段の学習、生活訓練等を事業化してください。

(説明)

難聴者の自立には、補聴器装用訓練や情報保障手段の学習や習得など新たなコミュニケーション手段を学ぶ場の獲得が欠かせません。また、難聴者にとって例会などの交流は社会参加上で重要な生活訓練にあたる意義、意味があります。

(3)総合ヒアリングセンターを実現してください。

聴覚保障の推進を医療、福祉の両面から制度化してください。医療、福祉、就労、教育など総合的な支援が受けられるセンターとしてください。

(説明)

福祉医療機構の助成により2年間実施した聴覚補償に関わる調査研究事業により、総合ヒアリングセンター構想がまとめられた。医療機関、聴覚障害者情報提供施設等でセンター機能の実現により事業としての実施が図れるようにしてください。

聴覚補償の推進には聴覚外来と補聴給付事業のように医療と福祉のサービスや社会・成人教育を含めた教育分野との連携の拡大が必要です。

5.要約筆記者の養成、派遣事業に関わる特別支援事業の継続と充実をはかってください。

(1)要約筆記者指導者養成事業を継続してください。

(説明)

要約筆記は意思疎通を仲介する通訳としての位置付けが法定化されています。3月に自立支援法の実施要綱の改正通知により要約筆記者養成新カリキュラムと担い手は要約筆記者とする通知がなされ、今年度事業により指導者養成講習会が開催されています。引き続き、指導者養成講習会と現要約筆記奉仕員のレベル・スキルアップをはかるための補習講習の充実と強化のための特別支援事業の継続をしてください。

(2)要約筆記者の派遣対象の拡大、範囲の拡大を求めます。

(説明)

①障害者自立支援法施行後、自助団体への派遣を中止した自治体が多く存在します。私たちにとって、複数の同障者のコミュニケーションにとってなくてはならない要約筆記者公費派遣を全国で復活してください。コミュニケーションは私たちの権利です。このような権利侵害を早くなくしてください。

②職場への要約筆記者派遣を雇用主の負担能力を勘案した派遣ができるようにしてください。

③聴覚障害者が定年退職後等に社会人入学として高等教育機関に学ぶ方が増えています。高齢社会にあって、社会貢献、向学心に燃える中高年の方も多くなりました。このような機会に情報保障の配慮が受けられないというのは差別にあたります。 高等教育機関や社会教育の場での情報保障の整備がはかれるようにしてください。

(3)要約筆記者派遣事業における、都道府県、市町村間を超えた派遣ネットワークシステムの構築と事業化を求めます。

(説明)

障害者自立支援法での派遣は地域で福祉サービスを受けられるということが基本となっている。このため複数の行政区をまたぐ派遣が認められていない。いつでも、どこでも、必要な場に要約筆記者の派遣ができ、私たちの権利が守られることが必要です。

6.難聴者・中途失聴者が施策決定に参画できる法制度を確立してください。

(説明)

障害者基本法改正で、障害者政策委員会設置が決まり当事者参画による保障がなされるようにしてください。全国の都道府県、市町村に至るまでの各種福祉政策決定の場に、当事者の参画が保障される「私たち抜きに、私たちのことを決めないで!」という権利条約採択時の精神に基づき進めてください。

 

以上 決議する。

 

2011年10月9日

17回全国難聴者・中途失聴者福祉大会inあおもり 参加者一同




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